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パシフィックコンサルタンツの最新情報をご案内します。
2024 09.09
プレスリリース

一般送配電事業者の公開情報を利用した時間帯別のCO2排出係数を公開しました ~再エネ普及で変化する電力の環境価値を見える化~

パシフィックコンサルコンサルタンツ株式会社
パシフィックパワー株式会社

パシフィックコンサルタンツ株式会社(住所:東京都千代田区、代表取締役社長:大本 修)は、グループ会社であるパシフィックパワー株式会社(住所:東京都千代田区、代表取締役社長:合津 美智子)が代表技術者として採択された環境省の令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(リアルタイム CO2 排出係数に基づく再生可能エネルギー発電等の最適制御技術の開発・実証事業)に、共同実施者として参画し、技術開発を進めて参りました。

その成果の一つとして、2024年4月より公開が開始された各一般送配電事業者の時間帯別燃料種別の発電実績データを活用して、時間帯別の電気のCO2排出係数を算定し、これを公表しましたのでお知らせいたします。

時間帯別CO2排出係数の解説ページ

時間帯別のCO2排出係数の意義

これまで、電気のCO2排出係数としては、環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)」に基づき、小売電気事業者各社から公表される係数など1年間の平均値が多く、季節や時間帯によるCO2排出量の変化を把握することができませんでした。時間帯別CO2排出係数の公表は、こうした現行の公表制度では把握できない、CO2排出係数の時間的な変化の見える化を目的としています。

例えば、天気の良い昼間の時間帯には、太陽光発電の発電量が増加するため、火力発電の発電量が抑えられ、この時間帯のCO2排出係数は夜間よりも低くなっていると考えられます。雨天時や夜間は太陽光発電の発電量が見込めないため、電力供給において火力発電に頼る割合が高くなります。そこで各時間帯の発電実績を用いて時間帯別のCO2排出係数を算定しました。

図 時間帯別のCO2排出係数の算定例

図 時間帯別燃料種別の発電実績例

国際的にも、事業者の温室効果ガス排出量算定基準として広く用いられているGHGプロトコルのScope2の算定手法において、実態をより精緻に反映する手法を重視する議論が進行しており、今後の様々な動向に柔軟に対応できるよう備えていく意味でも、こうした時間帯別のCO2排出係数の理解・活用が重要となります。

時間帯別のCO2排出係数の用途

これまでも、時間帯別に変化する電気の経済的な価値(スポット市場価格など)を指標として、VPP(バーチャルパワープラント)やDR(デマンドレスポンス)といった取組の中で発電や需要の時間帯別のシフト、最適化が行われてきました。しかし、それらが環境面でどのような貢献があるかを分かりやすい形で示すことが困難でした。時間帯別のCO2排出係数があれば、同じ量の電力を発電もしくは消費する時間帯を変えるだけでもCO2削減に繋がりうることを簡単に示すことができます。

※より正確にCO2削減効果を求める場合、各時間帯での追加的な発電・節電により出力が増減する電源(マージナル電源)を特定して、そのCO2排出係数を用いて算定する必要があります。パシフィックパワーでは、今後は時間帯別のマージナル電源のCO2排出係数の算定・公表も予定しております。

パシフィックコンサルタンツグループでは、具体的に環境省の地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業において、翌日(短期)の系統電力の時間帯別CO2排出量を予測することで、再エネ、系統用蓄電池、デマンドレスポンス等の運用・開発を最適に進められ、CO2削減効果の定量化・最大化が可能となるシステムの構築を目指しています。特に、パシフィックパワー株式会社が豊富な実績を有する公共セクターの再エネ発電として、消化ガス発電と廃棄物発電を対象とした制御技術を開発中です。

図 開発するシステムのイメージ

今回算定したCO2排出係数を指標として予測・制御するシステムについては、パシフィックパワー株式会社が参画する自治体新電力への提供のほか、カーボンニュートラルを目指す自治体や企業にもサービス提供していく予定です。
パシフィックコンサルタンツ株式会社及びパシフィックパワー株式会社は、引き続き地域エネルギー事業を通じたまちの活性化と発展、カーボンニュートラル化の進展に寄与してまいります。

参考:関連学会発表など

  • 松田 健士、堀尾 作人、合津 美智子「再生可能エネルギーの出力変動を考慮した時間帯別CO2排出係数の算出」、第19回日本LCA学会研究発表会(2024)
  • 松田 健士、堀尾 作人、合津 美智子「電力リアルタイムCO2排出係数の試算と応用例」、第42回エネルギー・資源学会 研究発表会(2023)
 

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