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誰もが安心して暮らせる持続可能な社会に向かって

地域のため市民のためのエンジニアリングに徹し、 統合ソリューションで日本の未来を拓く

パシフィックコンサルタンツは、道路や鉄道、河川、港湾などのさまざまな社会インフラの整備において、その計画や設計、維持管理などに関する技術的なサービスを提供する建設コンサルタント会社です。前身となる米国法人のスタートは1951年。以来、70年以上にわたって、高い技術力とあらゆる分野をカバーする総合力を駆使し、市民が平和に安心して暮らせる社会を実現するために、国内外のさまざまなインフラ整備を支えてきました。代表取締役社長の大本修に、パシフィックコンサルタンツグループの目指す企業像について話を聞きました。

――パシフィックコンサルタンツグループについて教えてください。

大本:私たちは建設コンサルタント会社です。建設コンサルタントは、道路や鉄道、河川、港湾などのさまざまな社会インフラについて、国や地方自治体などから発注を受け、企画、調査、計画、設計から施工管理、維持管理に関する技術的なサービスを提供しています。実際に建設を担うのは建設会社です。建設コンサルタントは、それらのインフラがなぜ必要なのか、どういう社会課題が解決できるのか、どうすれば様々なステークホルダーを満足させることができるのかといったことまでも包含した大きなビジョンと高い視座で検討を行い、具体的なプロジェクトに落とし込んでいくことを仕事としています。

なぜ、建設コンサルタントに大きなビジョンが必要なのか――それは当社の誕生の経緯にも示されています。

パシフィックコンサルタンツの前身は日米合弁のパシフィックコンサルタンツ・インコーポレーテッドで、戦後まもない1951年に誕生しました。日本の復興を早急に進めるために、鉄道や道路、ダムなどさまざまなインフラを整備することが求められていた時代です。政府や自治体単独ではとても担い切れません。それを肩代わりするために必要とされた会社でした。私たちは設立時から広い視野と高い公共性を持つことを求められていたのです。

例えば橋を架けるとしましょう。単に構造上安全で、必要とされる機能を果たす橋を架ければいいというわけではありません。橋を架けることによる環境への影響はどうか、交通や産業、人々の暮らしはどう変わるのか、どういう未来が展望できるのか、それによって不利益を被る人はいないか、さらに新たな橋の維持管理は誰がどのように進めるべきなのか、といったあらゆる問題を多角的に検討する必要があります。そのプロセスを経なければ、本当の意味で価値のあるインフラの整備はできません。そこに建設コンサルタントの存在意義があります。

――多くの建設コンサルタントの中で、パシフィックコンサルタンツグループの特徴について教えてください。

大本:2つあります。1つは、あらゆる社会インフラについて技術サービスが提供できる総合力です。一口に社会インフラと言っても、道路や鉄道、河川、港湾、空港、ダム、上下水道、廃棄物処理、環境保全、防災・減災など多岐にわたります。多くの建設コンサルタント会社は、道路分野が中心であるとか、河川分野に強いといった特徴がありますが、私たちはあらゆる分野をカバーする技術者と技術力を有しています。それらが1つの会社の中で連携することで、より深く、質の高い統合ソリューションサービスを提供することができます。

もう1つは、シビルエンジニアリングを徹底していることです。シビルエンジニアリングとは、市民が平和に安心して暮らせる環境を整備する技術の総称です。日本語では「土木工学」と訳されていますが、本来の意味を伝えきれていません。シビルエンジニアリングには、単なるインフラの計画・設計・建設だけでなく、建築や都市計画、そしてそれらに付随した公正で中立的な立場での市民とのコミュニケーションや調整、合意形成なども含まれます。必要な資金をいかに確保するか、完成後の運用や維持管理をどうするか、海外の途上国でのプロジェクトであれば、相手国への技術移転や担い手の育成も含みます。これらを総称したものがシビルエンジニアリングです。

私たちが備える総合力とシビルエンジニアリングがどんな役割を果たし、価値を生んでいるか、今取り組んでいる渋谷の再生プロジェクトを例にご紹介しましょう。

写真:渋谷駅東口地下広場
渋谷駅東口地下広場

最初は、鉄道事業でした。異なる路線の相互乗り入れと駅の地下化を実現するというものです。しかし私たちの仕事は、それだけでは終わりません。新たに生まれる巨大な駅跡地をどうするか、関連するビルの建て替えや駅前全体の再開発、それに伴う道路、河川の整備、新たな防災計画など、いろいろあります。発注者や事業者だけでなく、住民、そして渋谷を訪れる人たちもステークホルダーです。多様な知見や専門技術を組み合わせ、住民とのコミュニケーションを通して合意形成を図りながら、渋谷というまちの課題を解決し、新しい渋谷を地域の人々とともに構想しました。その結果として今の渋谷駅周辺があり、これからも変わり続けます。今、私たちに求められているのはまさに「総合力」と「市民のためのエンジニアリング」であり、それを実現できることがパシフィックコンサルタンツグループの強みだと考えています。

――今後パシフィックコンサルタンツグループはどのような企業になっていきたいと思っていますか?

大本:目指すものは2つあります。1つはインフラ整備を通じて世界の人々が平和に安心して暮らせる社会を実現すること、もう1つは、地球環境を守り、豊かな地球を次の世代に引き継いでいくことです。

もちろん私たちは国でも国際機関でもありません。直接、戦争を終わらせたり、紛争を解決することはできませんし、インフラを整備するだけで平和で安心して暮らせる社会が実現するわけでもありません。また、私たち単独の力で地球環境を守ることはできません。しかし、防災に取り組み、紛争の火種や地球の未来への不安を取り除くことはできます。

例えば、途上国に一本の橋が架かり、道路が延びる。新たな鉄道網がつくられる。これらが地域や国をつなぐことで、社会的な不平等が解消され、今までにない交流が生まれる。地域が豊かになって経済的な格差が縮まる。国際協力の中でインフラ整備を行い、相手国への技術移転や人材育成を進める。これらのことは紛争を未然に防ぐことに繋がる、そう考えています。

また、私たちは、30年以上も前から地球温暖化問題に取り組んできました。専門の知見を有する部署が、長年日本国政府や東南アジア諸国に対して、いかに温室効果ガスの排出抑制に取り組むか、調査やコンサルティングを実施しています。さらに気候変動とともに顕著となったさまざまな災害から暮らしを守るためのインフラ整備や大規模災害の被災地の復興やまちづくりも進めています。これらは持続可能な社会の実現につながっています。また、多くの企業に先駆けて脱炭素経営「パシフィックネットゼロ」を宣言し、先陣を切って具体的な施策に着手しています。

世界の人々が平和で安心して暮らせる社会を実現する、地球環境を守る、それらを両立し、持続可能な社会を構築することが、私たちのミッションであり、存在意義です。

写真:大本 修

――そのために具体的に何をしていきますか。

大本:やるべきことは多く、いろいろな施策に各部門で取り組んでいますが、パシフィックコンサルタンツグループの最大の資本は人です。人がすべてと言っても過言ではありません。豊かな個性と能力を備えた人材をいかに育てていくかが最も重要だと思っています。

具体的には、国籍を含め多様な能力や個性をもった人が、心身ともに健康な状態で生き生きと働くことができる環境の整備をあらゆる面から進めています。そして組織やチームが常に最大の力を発揮できるように、誰もが率直に意見を述べ、質問し、違和感があればそれを指摘しあえる心理的安全性の高い組織をつくりあげていくことを、全社を挙げて追求しています。

価値観を共有しながら、相互の信頼関係の上に一人ひとりが自律して行動するシビルエンジニアの集団となり、社会課題の解決に挑んでいく――これが、私たちが目指す企業像を実現し、パシフィックコンサルタンツグループの未来を切り拓く道だと考えています。

大本 修

OMOTO Osamu

パシフィックコンサルタンツ株式会社
代表取締役社長

1996年入社。本社業務推進部長、九州支社長などを経て2016年取締役就任。2022年10月より代表取締役社長。信条は「着眼大局着手小曲」。大きい目標を目指しながらも、確実に取り組む姿勢を心掛ける。建設コンサルタンツ協会副会長、建設コンサルタンツ協会関東支部長。

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