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従業員のWell-beingこそ経営の最重要課題

健康経営を支えるさまざまな施策がスタート

パシフィックコンサルタンツでは、従業員のWell-being(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)こそ経営の土台であるという視点から、さまざまな施策が推進されています。すでに実施に移されたものや、準備段階のものなど、取り組みは多岐にわたります。
社内の各部門横断型で設置された健康経営プロジェクトチームで施策の企画・実施を担う労務室長の小山大介と保健師の森迫和歌に、これまでの取り組みと今後の施策について話を聞きました。

2024年健康経営優良認定法人を取得

――健康経営の取り組みはどのように始まったのですか?

小山:大きな区切りは2023年7月の取締役会の健康経営に関する決議です。ホームページにも掲載していますが、「パシフィックコンサルタンツは、グループビジョン『未来をプロデュースする』を実現する上で、従業員が身体的・精神的・社会的にも良好な状態にあること(Well-being)が最も重要な経営の土台であると考え、健康経営を推進することを宣言します。」としたうえで、「従業員一人ひとりが健康の保持・増進に取り組むことができる職場環境を創るため、各種施策を実施します。従業員が健康で働きがいを持ち、さらには幸福感と安心感を持って働くことにより生産性を高め、グループビジョンの実現ひいては社会全体の持続可能な発展に貢献していきます。」ということを会社内外に表明しました。

従来も、健康経営に関する取り組みはありましたが、この宣言を受けて健康経営の推進主体として新たに部門横断で健康経営プロジェクトチームを立ち上げ、全国設計事務所健康保険組合、産業医・保健師及び各地区衛生委員会と情報共有しながら、健康施策を検討し、実施に移しています。健康経営優良法人認定の取得については決議に先立つ6月頃から先行して取り組みを進めていました。

写真:労務室長の小山大介
労務室長の小山大介

――2024年の認定取得となりましたね。

小山:初めての申請で、しかも10月が申請締め切りで準備期間が4カ月ほどでしたから準備は大変でしたが、無事取得できました。健康経営優良法人認定にあたって求められる取り組みについては、すでに取り組んでいるものも多く、例えば傷病者の復職支援とか健康診断後の全員面談などは、高い評価も得ましたし、森迫さんはじめ保健師が10名以上在籍している企業も珍しい存在です。

他社と比較して自社の位置が見えたという点でも認定取得に取り組んだのは良かったと思っています。

森迫:もともと当社は人を大切にする経営ということを強く意識してきた会社です。ただ、当社の施策は、経営が担う課題というよりは、従業員向けの福利厚生サービスとして展開されていました。

しかし今は、会社として、従業員の健康を保つことは経営の責務であると宣言したわけですから、保健師としても動きやすい環境ができたと感じています。

写真:保健師の森迫和歌
保健師の森迫和歌

――当社の従業員の健康状態はどうですか?

小山:健康優良法人認定に関しては、個別の項目ごとの評価表が出ています。 それをみると、健康経営関連の情報の開示については、経営層の積極的な取り組みが評価されています。業種平均と比べても、この点はポイントが高かったですね。

一方、生活習慣の部分で、食生活とか運動機会、女性特有の健康課題についての知識習得、さらに長時間労働などについては、やや評価が低かった。
健保から示されている健康診断のスコアリングレポートを見ても、運動不足という問題があり、脂質や血糖もリスクが高めです。食事の時間が遅いとか、なかなか運動する機会が取れないということが原因かと思います。

――保健師の立場から見て、いかがですか?

森迫:心配していたよりもよい結果でした。従業員の平均年齢が上がっていけば、当然健康リスクが高まります。その割には落ちていないなと感じました。もちろん、数値の悪いところは改善していかなければなりません。

――血糖値が高めになっている原因は何ですか?

森迫:血糖値は何か1つの食材を食べると上がるという、単一の決定的な要因があるわけではありません。早食いであるとか、就寝時間が遅いとか、朝食を抜いているとか間食やおやつが多いといった生活習慣が影響していると思います。他にも、食事で野菜を食べないとか、菓子パンなどで済ませているとか、単品の丼物が多いといったことが積み重なっているのではないでしょうか。

小山:私が気になったのは、特定保健指導の受診率の低さです。健康診断の結果、生活習慣病予備軍のような状態であることがわかると、その対象者は特定保健指導を受けることができます。費用もかかりません。ところが、その受診率が低いんです。
特定保健指導もオンライン化が進み、就業時間中に特定保健指導が受診できるように今期から特定保健指導にかかる時間は労働時間と見なすことにしました。

健康経営実現のための取り組みを開始

――これまで取り組んできた施策や今後実施するものについて教えてください。

小山:食生活習慣についてのスコアが低いので、その解決に力を入れています。特に朝食の欠食率の高さが目立ったので、前期は外部の管理栄養士を招いて「朝食改革セミナー」を開きました。

また、食の改善に資するものとして今始めようとしているのが置き型の社食サービスです。「バランスのいい食事」を提供するための施策で、主菜、副菜、汁物などきちんと栄養が管理された食材を、個包装して冷凍したものを1品100円から200円で販売し、電子レンジで解凍して食べてもらうというものです。ご飯もあるのでいくつか選んでセットにすれば一食揃います。

――運動習慣についてはどういう取り組みをしますか?

小山:当社は全国に衛生委員会があって、これまでも独自にやりたいことを決めて取り組んでいます。ウォーキングをやったりソフトボール大会とか登山とか企画しているので、これは継続してほしいと思っています。

それに加えて、今期はスポーツ庁が実施している『FUN+WALK PROJECT』に申し込みました。ウォーキングを推奨するようなイベントがあるので、歩く活動(歩活)に取り組みたいと思っています。社内運動会もコロナ禍でしばらく休みましたが、東京では再開します。フロア単位の対抗戦にする予定で、本部の枠を越えた交流のきっかけにもしたいと思っています。
そのほか運動習慣づくりの後押しとして、ストレッチや筋トレなどをテーマにした健康教室の開催や女性特有の健康課題については、全従業員向けのeラーニングの必修科目に加えて広く理解を深めたいと思っています。

また、メンタルを整えるためにも睡眠の大切さを改めて伝えたいと思っています。外部の専門家を呼んで質のいい睡眠の取り方を学んでもらう睡眠セミナーを開催する予定です。さらに更年期セミナーも計画中です。男性にも更年期障害があることが知られるようになっています。男女を対象に今期中に実施したいと思っています。

――長時間労働対策は何か考えていますか。

小山:残業時間は減ってはいますが、減少の度合いが停滞気味なので、残業の少ない人の好事例を共有して、もう一段減らす方向に進めたいと思っています。

長く着実に進めて定着させていく

――健康経営プロジェクトチームで動いてきて、どんな感想をもっていますか。

小山:改めて思ったのは当社にはいい施策がいっぱいあるということです。私は転職で外から来ましたし、社会保険労務士として他社のコンサルもしていたのでのよくわかるのですが、社内に10人以上の保健師がいる会社はなかなかありません。健康診断結果について全員面談をやっている会社も数えるほどです。この良い面をもっと伸ばしたいと思っています。

森迫:先ほどもお話ししましたが、もともと当社は制度とか健康経営とは銘打っていなくても、人を大事にしようとしていた会社で、だから先代の産業医の先生が提唱された全員面談も当たり前にやってきたし、健康問題がありそうだというところには、いち早くメスを入れてきました。健康経営の根底に据えるべきものは、すでにもっていると思います。

さらに今回は、従来の取り組みを健康経営というかたちで外に出させてもらったことになり、すごくありがたいと感じています。ただ、産業保健は色々な考え方がありますが、私は「産業保健は黒子」と教わり、その教えの中でやってきたので、実はすごくむずがゆかったんです(笑)。企業が健康を押し出さなければならないのは不健康故だと教わりましたからね。でも今は時代が変わって、企業の中での「健康」の扱い方が変わり、当社でも従業員の健康は企業が責任を持つべきこととして明確に位置づけられました。私も頭を切り替えていかなければいけないと思っています。

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――これからの意気込みを教えてください。

森迫:人は20歳になるまでは身体を大きく育てることが健康と言っても過言ではありません。つまり健康=成長です。しかし20歳をすぎたら、率直に言えば死に向かっていく存在に変わります。健やかな時間をできるだけ長くしながら死んでいくということが健康なんですね。何もしなくても大きくなれた私たちが急に健康について考えろといわれてもすぐに頭は切り替わらないので、健康に興味がない人はそこの転換が難しいのかもしれません。

私は欲張りなので、自分が関わりを持ったすべての方が、自分の人生の舞台から降りる日まで、その人らしく輝いて生きてほしいと願っています。舞台を降りる理由は、病気や事故など様々あると思いますが、病気に関して言えば、防いだり、軽症で済ませることができるものが数多くあります。特に生活習慣病は若いころからの日々の注意で防ぐことができる可能性が高い病気です。だからこそ、できることをして防ぎ、一日でも長く健康で過ごしてほしい。特に経営層の皆さんには、会社を挙げて健康問題に取り組むことをこれからも続けていただきたいと思います。

小山:個人的なことですが、健康経営の取り組みを担当して欲しいとこのプロジェクトに誘われたときに「ぜひやらせてください」と即答しました。
もともと私は社会保険労務士として労務を専門としています。従業員の健康の問題は労務に直結することであり、自分の経験や知識も生かしながら経営課題の解決に貢献していくことができると思っています。自分の健康は当たり前で、家族やまわりの従業員の健康をお互いに気遣い合い、従業員みんなで健康な会社をつくっていきたいと思います。

小山 大介

OYAMA Daisuke

総務労務部 労務室 室長

2017年入社。大学在学中に社会保険労務士に合格し、卒業後は顧客契約数55,000件の大手人事コンサル会社で勤務。労働保険・社会保険業務、給与計算、労務問題対応、就業規則作成、人事考課コンサルティングなど、数多くの顧問先に対して成果を上げる。現在は、労働環境、労働安全衛生、健康経営に関する業務に従事する。

森迫 和歌

MORISAKO Waka

総務労務部 労務室

2008年入社。緩和ケア科での全人的看護の経験から「疾病予防こそ最大の全人的看護では?」と保健師業務に興味を覚え、公益社団法人日本看護協会にて保健師の後方支援業務を行う。その後、現場業務に魅力を感じ、当社健康管理室スタッフとなり現在に至る。目指すは「健康について、引き出しは小さいけど数が無駄に多い保健師」。

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